日本看護科学会誌
Online ISSN : 2185-8888
Print ISSN : 0287-5330
ISSN-L : 0287-5330
原著
摂食障害のある子どもをもつ親の適応行動過程に関する研究
種吉 啓子
著者情報
キーワード: 摂食障害, , 子ども
ジャーナル フリー

2008 年 28 巻 2 号 p. 2_3-2_11

詳細
抄録

本研究の目的は,摂食障害のある子どもをもつ親の行動や変化の過程を明らかにすることである.摂食障害のある子どもの父親3名,母親11名を対象に半構成的面接を実施し,得られた面接記録を質的帰納的に分析した.その結果,《仲良し家族を実践する》《変化に囚われる》《過去と決別する》《成長を積み重ねる》《腰を据える》《情報を求める》《医療とつながる》という7つのカテゴリーからなる親の適応行動過程が明らかになった.適応行動過程とは,子どもの身体的変化,人格の変化,日常生活の変化を認識し,子どもの変化を受け入れ,親自身が子どもの変化に合わせて親役割を遂行する成長過程を意味していた.その過程の中で,親の視点が過去から未来へと変化し,さらに身体的症状や拒食や過食などの外面的に見えるものから,感情や気持ちなどの内面的なものに向けられるようになり,価値観の変化や視点の広がりがみられた.親の適応行動過程を促進させることは,摂食障害のある子どもの回復を促進させることが考えられた.

著者関連情報
© 2008 公益社団法人 日本看護科学学会
次の記事
feedback
Top