抄録
沖縄トラフ第四与那国海丘海底熱水系の5つの熱水噴出サイトのチムニー試料について鉱物学的・同位体地球化学的記載を行い,熱水噴出サイト間の比較や他熱水系との比較により,本熱水系の鉱化作用について議論することを目的とした。研究手法は,顕微鏡観察,EPMAを用いた鉱物の化学組成の定量分析,硬石膏中の流体包有物分析,硫化鉱物・硫酸塩鉱物の硫黄安定同位体比測定である。顕微鏡観察結果から,熱水系全体として,チムニー構成鉱物は,閃亜鉛鉱,黄銅鉱,方鉛鉱,白鉄鉱,黄鉄鉱,磁硫鉄鉱に富む。閃亜鉛鉱の定量分析から,Fe, Mn含有量において,熱水系中心部ではFeに富み,Mnに乏しいが,熱水系周辺部ではFeに乏しく,Mnに富むという傾向を示した。硫化鉱物の硫黄安定同位体比は4.0-6.6‰であり,沖縄トラフ熱水系の中では比較的低いが,中央海嶺熱水系よりも高い値を示した。