抄録
極東南部地域に位置するシホテアリン地域には、ジュラ紀~白亜紀前期、白亜紀前期~白亜紀後期の付加体が南北に帯状に分布している。付加体を形成するオフィオライトには、形成後にそれらを貫くように噴出したとされるコマチアイトに似た組成を持つメイメチャイトという火山岩が分布し、日本海拡大以前に日本とシホテアリンは隣接していたと考えられる。メイメチャイトと呼ばれる火山岩は、一般的な高MgOピクライト玄武岩よりさらに高いMgOを含むが、アルカリ元素は少ないためアルカリ岩ではなく、太古代のコマチアイトによく似た組成を持っている。また、メイメチャイトの起源を明らかにする上で、沈み込み帯との関連が示唆されるコマチアイトの起源については同位体組成が、マグマ活動期を知る上ではその噴出年代が重要と考えられている。今回、シホテアリン、嶺岡、瀬戸川各地域で産出するメイメチャイトについてこれらを報告する。