主催: 日本地球化学会年会要旨集
非晶質炭酸カルシウム(ACC)は、CaCO3・nH2Oと表される準安定な物質であり、結晶質炭酸カルシウムの前駆体となることが知られている。我々は結晶化の駆動力として圧力に着目し、ACCの圧力誘起結晶化という現象を発見した。本研究では、ACCの圧力誘起結晶化における結晶成長の過程について詳しく調べた。
合成したACCを真空乾燥する際、真空度および乾燥時間を変えることで、ACCの含水量を変化させた。含水量の異なるACCを、0.08-0.8 GPaの範囲で加圧し、XRDやSEMなどによる測定を行った。XRDにより、ACCの含水量により結晶化圧力や結晶多形比などが変化することが分かった。またSEM観察の結果、加圧により結晶が放射状に成長していることが確認でき、ACC中の水を介し、大きな駆動力のもとで結晶成長が起こっている可能性が示唆された。