主催: 日本地球化学会年会要旨集
氷期において大気中二酸化炭素濃度低下分の炭素がどこに貯蔵されていたのか、という「氷期の炭素レザバー問題」の解明を目指して、最終氷期以降の深層水炭酸イオン濃度の復元を行う。本研究では海洋深層水の炭酸イオン濃度変動から炭素循環のメカニズムを解明するために堆積物表層の炭酸カルシウムの溶解・保存に着目した。研究には北太平洋西部のシャツキーライズにおいて採取されたマルチプルコア(KH11-7 SHY-3 MC)を用いて最終氷期以降の堆積物中有孔虫殻の炭酸カルシウム溶解度を有孔虫殻の殻破片化率測定および殻重量測定によって測定する。測定の結果、最終氷期は現在より炭酸カルシウムの保存性が良好な傾向にあり,深層水炭酸イオン濃度が高かったことが示唆された。さらに本研究では最近開発された有孔虫の殻密度を定量的に測定することのできるマイクロフォーカスX線CTスキャナを用いてより定量的な炭酸イオン濃度の復元を目指して研究を行う。