抄録
異なる交換性陽イオン(Na+,Ca2+,Mg2+)を持つMontmorilloniteとグリシンの吸着挙動ついて調べるために,それぞれの陽イオンに置換したMontmoriloniteとpHの異なるグリシン溶液を振とうさせ,XRDおよびHPLCで分析した。Ca型のGly吸着量はpH2のときに最も高くpHの上昇に伴って減少した。一方,Mg型はpH12のときに最も吸着量が多くなった。Mg2+がcation bridge(Gly-…Mg2+…Si-O-)として働き, アルカリ性でもGlyの吸着を促進している可能性が高い。Na型をGly溶液と反応させると著しく膨潤し,その層間も広がっていた。Na型のGly吸着量はCa型およびMg型と比較しても著しく高い値であった。Glyの吸着量はpHの変化によっても影響を受けるが,粘土鉱物の膨潤性が高い場合(Na型)にGlyの濃縮が最も進むと考えられる。