抄録
フミン酸構造は起源生物の種類、堆積場の有機物分解能や重合環境により異なると考えられ、堆積場の生物環境の評価に利用できる可能性がある。干潟において新しい視点からの環境評価法となりうる。本研究では堆積環境の変化がフミン酸に与える影響を考察するため、採取地域季節の異なる堆積物フミン酸の構造に関する特徴的指標の地域差や季節変化について議論した。試料は有明海沿岸の早津江川・六角川芦刈・浜川肥前浜、および曽根干潟で2011年度に4回採取した。抽出はIHSS土壌フミン酸試料調製法に準じ、分析には可視紫外分光法、炭素同位体比測定、元素分析を用いた。原子数比や炭素同位体比から有明海沿岸のフミン酸は比較的陸域の寄与、曽根干潟は海洋の寄与を多く受けていると示唆された。A2/A4比とδ13C値は池田(2009)に沿う形で相関を示したが、曽根干潟は相関から外れた。C/N比からアミノ酸が多いことが予想され、A2/A4比の異常は芳香族アミノ酸の影響と推察される。