抄録
中国地方における越境汚染の過程を明らかにするために,鳥取県から岡山県の7か所で大気降下物を採取し,溶存イオンの濃度,硫酸イオンの硫黄同位体比を測定した。山陰では,冬季に非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比,非海塩性硫酸イオンの沈着量ともに高くなる傾向が見られ,中国の石炭燃焼の影響を大きく受けていると考えられる。一方,山陽では,冬季に非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比,非海塩性硫酸イオンの沈着量ともに高くなる傾向は見られなかった。よって,冬季に中国から飛来する硫黄酸化物は,中国山地より北側で雪または雨によって沈着させられ,山陽には届かないと考えられる。