抄録
近年、炭素質コンドライト中高温凝縮物ヒボナイト中に10B同位体過剰が見出され、原始太陽のT―タウリ期における激しい活動がもたらした核破砕反応の痕跡によることが示唆され、宇宙線初期照射説が再び支持されるようになってきた。これまでバルク分析で、月試料中のレゴリスや隕石の中でも特にオーブライト隕石に、宇宙線照射による核破砕反応によって生成される中性子が起こす中性子捕獲反応を表すSm、Gd同位体組成の大きな変動が確認されているが、局所的に中性子捕獲効果を明らかにした研究は未だされていない。本研究では、中性子捕獲反応に着目し、同位体化学的見地から宇宙線初期照射説を検証することを目的に、炭素質コンドライト中の高温凝縮物および月試料中の破砕片を研究対象とし、高感度高分解能イオンマイクロプローブを用いてSm同位体比の測定を行った。