抄録
マーチソン隕石中のヒボナイト包有物に含まれる超難揮発性微粒子の経験した蒸発過程について考察すべく、SEM-EDSによる金属元素組成分析を行った。結果をPtを基準にして太陽組成と比較すると、金属微粒子中のRh, Mo, Ruなどはほぼ太陽組成と一致し、FeとNiは5-6桁欠乏した組成を持つことがわかった。これは揮発性の比較的高いFe, Niが選択的に蒸発する一方、より難揮発性の金属元素はほとんど蒸発しなかったと考えられる。また、分析値をうまく説明出来るような生成温度について制約を与えるため、金属の蒸気圧データを用いた蒸発シミュレーションを行った。その結果から、Feが5-6桁欠乏するまで蒸発した際、Rh, Ptより難揮発性の金属元素はいずれの温度でもほとんど蒸発しないが、Niの欠乏は2-3桁にとどまり分析結果を説明できないことがわかった。可能性としては、Niが5桁、Feが8桁程度欠乏するまで蒸発した後でFeが付加するようなイベントを経験した可能性が挙げられる。