抄録
Sr同位体比(87Sr/86Sr)を指標として、農作物の産地推定や、遺跡から出土された人の骨・歯から生育地を推定する研究が近年広く行われている。この研究の基盤として、地質表層のSr同位体比が既知であることが必要不可欠である。地質のSr同位体比分布を求めるため、我々は河川堆積物に着目した。流域に分布する多様な岩石の集合体である河川堆積物は、その地点を含めた上流域の様々な情報を平均化しており、表層のSr同位体比分布を明らかにするのに有用と考えられる。試料としては、産総研が元素濃度の地球化学図作成に用いた全国の河川堆積物を用いた。本講演においては、河川堆積物を用いた全国地質表層Sr同位体比マップが、農作物の産地推定、過去の人類の移動解明のための基礎データとして有用かどうかを論ずる。