抄録
海洋における固定態窒素の収支を解析しようとする試みにおいて、溶存窒素とアルゴンの比を用いる方法論が近年提唱されている。これを使用するためには、「非生物的に駆動される大気?海洋間の気体交換過程」に関する知識が必要となる。本研究では、西部北太平洋亜寒帯域において得られた「窒素とアルゴンの時系列データに見られる混合層直下の過飽和」を数値モデルで解析した。その結果、モデルは春から秋における混合層直下の窒素とアルゴンの過飽和、及び窒素のほうがより過飽和であることを再現した。過飽和の原因の1つは海面気圧の変動によって引き起こされた未飽和と熱フラックス及び混合によって引き起こされた過飽和との兼ね合いによるものであった。もう1つの原因は荒天時に発生する気泡の貫入効果であり、溶解度の低い窒素がより過飽和になることを定量的に示した。さらに、気泡の貫入効果が気体交換フラックスに与える影響についても解析した。