抄録
メタンハイドレートが分布する東部南海トラフの2地点の掘削で採取されたコア堆積物中の極性アーキア由来脂質の濃度と炭素同位体比を測定し、海洋地下圏におけるアーキアやメタン生成菌の分布に関して考察した。ほぼ全てのコア試料から、極性アーキオールとsn-2-及びsn-3-ヒドロキシアーキオールがその加水分解産物として検出された。ヒドロキシアーキオールの深度分布はメタン生成活性の深度分布と共通の傾向を示すことから、主にメタン生成菌起源と推定された。sn-2-ヒドロキシアーキオールの濃度と全有機炭素量の間には高い相関性(r = 0.89)が認められたため、メタン生成菌の深度分布は堆積物中の有機物の総量に依存すると推定された。堆積物のsn-2-ヒドロキシアーキオール/アーキオール比を、メタン生成菌細胞の同比と比較することにより、堆積物中のアーキア全体に占めるメタン生成菌の比率は9%以上と推定された。