抄録
底層を漂流する海藻(寄り藻)は、底生生態系の有機炭素源となることが考えられるが、その生成量の定量的評価はなされていない。本研究では北太平洋に普遍的に生息するカジメを対象とし、寄り藻の生成に伴う有機炭素の放出量の定量化を実施した。さらに、ドレッジ調査から底生生物相への影響を解析し、底生生態系における有機炭素源としての寄り藻の役割の評価を実施した。その結果、寄り藻の生成量は海藻の基礎生産量の約30%に相当し、光合成生産物の行方としての重要性が明らかとなった。さらに、底生生物相は寄り藻の存在によって特徴的なものとなったことから、沿岸の底生生態系に有機炭素を供給し、特徴的な生態系を形作ることが示唆された。