日本交通科学学会誌
Online ISSN : 2433-4545
Print ISSN : 2188-3874
日本における遠隔ICU
中西 智之森口 真吾鴻池 善彦津久田 純平
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 20 巻 2 号 p. 3-8

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抄録

遠隔ICU(以下、tele-ICU)は近年叫ばれている少子高齢化、基礎疾患を有する患者の煩雑な周術期管理さらには集中治療医の不足、などから注目を集めている。技術革新に伴い、音声だけではなく、生体モニターや患者の状態を画面上で共有し、さながらオンサイトでケアをする程度まで進歩してきている。患者の死亡率やQOLを改善するといった報告もなされており、将来的にはオンサイトチームによる集中治療管理に取って代わることが予想されている。日本におけるtele-ICUの導入は欧米との文化的な違いやベッド数の違いなどから遅れをとってきたが、ここ数年になってようやく機運が高まり国からの支援が得られるようになってきた。この状況をさらに加速させたのが新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)のパンデミックである。医師や看護師、さらにはCOVID-19診療にかかわるコメディカルスタッフの院内クラスターを抑える目的にtele-ICUを導入する病院が増えている。米国ではパンデミックによる医療崩壊が生じ、tele-ICUが介入することで標準化した治療の提供にも寄与している。tele-ICUはテクノロジーの恩恵を受けて今後ますます進歩するであろう。

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