抄録
海洋植物プランクトンによる物質生産過程の理解は、地球規模の物質循環や環境変動を理解する上で必要不可欠である。ハプト藻は海洋生態系を支える一次生産者としてその役割は非常に大きい。円石藻Emiliania huxleyiは、炭素数37-39の長鎖不飽和ケトン・アルケノンを合成する。温度-不飽和度の相関関係は「アルケノン古海洋温度計」として利用され環境変動や円石藻群衆の変動の情報が得られている。アルケノンは、一般的な貯蔵脂質であるトリアシルグリセロールとは異なる構造を持つが、その合成経路や生理的役割は全く不明である。我々は、イオントラップ型質量分析計を用いたショットガンリピドミクス解析により、アルケノン合成経路の中間体の同定に成功した。本講演では、円石藻による物質生産系の機構解明とその環境要因による制御機構について最新の成果を報告する。