抄録
本研究では,琵琶湖水が淡水リザーバー年代を示す原因を説明するために,湖水に対する古い炭素源の寄与を琵琶湖のシンプルな水理構造を利用してモデル計算を試みた。さらに,伊吹山系の湧水や姉川など河川水のDIC,DI14C濃度を測定し, Dead carbon sourceである伊吹山,霊仙山などの石灰岩地帯を起源とする河川水,地下水などから供給される古い炭素の影響を評価した。 豊富な魚介類や淡水を利用できるため,琵琶湖周辺では,先史時代から人々の生活が営まれていたことが知られている(水中遺跡は100ヶ所以上)。琵琶湖の水産資源を利用していた当時の(人間を含む)動物が,淡水リザーバー効果の影響を強く受けていたことが示唆される。発表では,現生生態試料を用いて,貝殻と(可食部である)身の炭素年代差,代表的な湖のリザーバー年代も含めて,考古学試料の炭素年代測定に関する淡水リザーバー効果の影響に関しても議論する。