抄録
2011年3月、東北地方太平洋沖地震に起因する津波により福島第一原子力発電所で水素爆発が起こり、放射性物質による土壌汚染が深刻な問題となっている。半減期・総放出量の関係から、この放射能汚染の主な原因はセシウムであることが報告されている。山科・福士(2013)では、スメクタイトにおける様々な陽イオンを用いたCs?脱離実験が行われた。その結果、K以外に関しては、それぞれの陽イオン種によるセシウム溶出挙動はシンプルな陽イオン交換モデルの適用により定量的に予測できることが示された。天然水はさまざまな陽イオンのミクスチャーである。したがって、個々の陽イオンから得られた結果を複数の陽イオン混合系への適用できるかどうかは検証される必要がある。本研究では、陽イオン混合溶液による微量のセシウムを保持したスメクタイトからのセシウム溶出挙動を室内実験から検討し、モデルの適用性について議論する。