抄録
海洋堆積物は有機物の重要なリザーバーとして機能する。とくに,生物起源のタンパク質やアミノ酸は全有機炭素(TOC)の10-15wt.%を占めると考えられている。本研究ではIODP第338次航海(2012-2013)で採取された堆積物コア(最大913mbsf)に含まれるアミノ酸を測定し,海洋底深部域におけるアミノ酸の分布と特徴について考察した。測定の結果,全加水分解性アミノ酸(THAA)の濃度は最浅部(200mbsf)で最も高く,819.9μmol/gであった。その後,THAA濃度は深度とともに急激に減少し,最深部(913mbsf)では177.1μmol/gであった。浅部域では各種タンパク質性アミノ酸がほとんど同じ割合で存在していた。しかし,最深部ではセリンの存在比が増加しTHAAの21%を占めた。これは深部域ではアミノ酸がケロジェンなどの腐食物質に変化する熟成反応が進んでいることを示唆している。