抄録
近年、隕石に様々な重元素同位体異常が発見され、初期太陽系は同位体的に不均質であったことが明らかとなった。一方、そのような同位体異常を示さない元素も存在する。このことは原始太陽系星雲内において均質化された元素とされない元素が存在することを示唆するが、その具体的メカニズムについては未だ不明である。我々はこれまでに報告されている隕石全岩と酸処理液の重元素同位体異常に関するデータをコンパイルし、それを元に初期太陽系の同位体不均質について検討した。その結果、隕石に観察される同位体異常は元素の揮発性と強い関係を持つことが明らかとなった。隕石全岩に明確な同位体異常が観察されるのはSrやMoなど、50%凝縮温度が1300-1600Kの元素であり、これらの元素は太陽系内の熱プロセスによりダストの一部が選択的に破壊される際、固相と気相の双方に分配され、その後の固相―気相分離により同位体異常が形成されたと考えている。