抄録
植物プランクトンの光合成による有機物合成は、地球上の生物的物質循環を考えるうえで重要な要素であるが、湖水や海水中から植物プランクトンのみを捕集して一次生産者情報を得ることは、現在もなお技術的に非常に困難である。光合成アンテナ色素の一つであるクロロフィルやその分解生成物は、このような光合成物質循環を解析するための格好の指標化合物とみなされており、そのCSIAを用いた手法は、湖沼および海洋における光合成物質循環の解析研究に威力を発揮してきた。
本講演では外洋における光合成と海洋窒素循環に関する知見を深めることを目的として、亜寒帯海域のK2 観測地点(47°00'N, 160°00')を中心に測定された有光層の懸濁態試料(POM)とそのクロロフィル色素(クロロフィルa, フェオフィチンa)、海水中の硝酸態窒素の窒素安定同位体比について、その結果を報告する。