抄録
サンゴ骨格を含む海洋石灰化生物殻中のカルシウム同位体比(δ44Ca)は地球史における海洋のカルシウムサイクルを考える上で重要であり、各生物の生物鉱化作用を考察する上でもCaの同位体分別がそれぞれどのように起きているかを検証することは重要である。本研究では、CaCO3からなる造礁サンゴの骨格の材料となるCa2+の輸送経路をδ44Caより推察し、同位体分別の程度や分別がどのようにして起きているかを検討した。実験の結果、骨格成長は温度やpHなどの環境によって有意に変動するものの、Caの同位体分別は温度のみに見られ、温度依存性は0.02 ‰/°Cであった。また海水からのCaの平均的な同位体分別は-1.2‰であり、カルシウムチャネルでCa2+が造骨細胞に輸送される時に、軽い40Caが選択的に取り込まれていることが分かった。