抄録
始原的エコンドライトの形成過程の理解は、初期太陽系における微惑星の成長・分化過程を物質科学的に解明する上で不可欠な課題である。始原的エコンドライトNWA 6704は、酸素同位体組成がCRコンドライトに類似しており、火成岩形成時の初生的な熱史を記録していることを期待できる極めて希少な隕石である。本研究では、NWA 6704薄片試料のSEM-EDS-EBSDによる組織観察と結晶方位解析、EPMAおよびLA-ICP-MSによる主要・微量元素定量分析を行い、この隕石の溶融・結晶化過程およびその熱源を鉱物組織学的・鉱物化学的に明らかにした。本研究で得られた結果は、天体分化の主要な熱源である消滅核種26Alが残存していた年代において、始原的な未分化天体が確かに存在していたことの証拠となるものであり、未分化天体への衝突加熱による部分溶融状態からの結晶化という一連の形成過程は、始原的エコンドライト隕石の起源に新たな制約を与えるものである。