抄録
対流圏大気には自然の浄化作用が備わっている。有機ガスは一般に「大気中の洗剤」と呼ばれるOHラジカルによって酸化されたのち、湿性除去されたり、エアロゾル相へ移行したりする。OH濃度の対流圏全体年平均値は約1×106 個/cm3と推定されるが、時空間的な変動は大きく、環境によっては未知の重要な反応経路が存在する可能性がある。我々はレーザー誘起蛍光法によるOH直接測定装置を製作し、利尻島・東京都心などにおいてOH計測を行い、未知過程の診断などを行ってきた。その結果、同時測定されたHO2にエアロゾル表面上での不均一消失反応などの未知のシンクが存在し、OHにもその影響が間接的に及んでいる可能性などを指摘してきた。OH測定の信頼性を担保するために装置間の国際相互比較も行われてきた。過去から将来に亘ってOH濃度が変化する可能性をアイスコア観測やモデルから探った研究例についても紹介する。