2021 年 41 巻 3 号 p. 133-136
【症例1】51歳女性,心窩部痛で救急搬送。CTで絞扼性腸閉塞と診断し緊急手術を施行した。術中所見で子宮広間膜裂孔ヘルニア(以下,本症)と診断し,整復および裂孔の縫合閉鎖をした。術後,術前CTを見直し,卵巣静脈がヘルニア内容物である拡張腸管により内側に偏位して走行していることを認識した。【症例2】58歳女性。腹痛,嘔気で救急搬送,原因同定できず,経過観察入院となった。入院3日目にCTを再検し,絞扼性腸閉塞と診断され当科へ紹介された。症例1のCTと同様の所見を認めたことから,本症を念頭に置いたCT読影を行い,本症と術前診断したうえで緊急手術を施行した。腹腔鏡で観察し本症であることを確認,小腸壊死を認めたため小開腹し,小腸部分切除および裂孔の縫合閉鎖を施行した。本症の術前診断は容易ではないが,自験例から卵巣静脈の内側偏位が術前診断のきっかけとなる可能性が示唆され,有用と考えられたので報告する。