抄録
水圏における微量金属の反応性、生物利用性および移動性は、溶存有機物(DOM)との錯形成に強く支配されることが知られている。自然水および下水処理水中の微量金属の溶解性とDOMの分子特性との関係について明らかにするために、相模川流域においてモニタリング調査を行った。採取・分析した全試料について、溶存態の銅および鉄の各濃度(溶存有機態炭素濃度で標準化した値)と、DOMの芳香族性を表す光学指標であるSUVA254との間に、強い正の相関が認められた。化学平衡スペシエーションモデルによる計算の結果、多くの試料において、これらの溶存態金属の大部分はDOM錯体として存在していると推定された。以上のことから、環境条件が異なる様々な自然水および処理水において、単位量のDOMと錯形成する微量金属(銅, 鉄)の量は、DOMの芳香族性により一義的に規定されることが明らかとなった。