抄録
本報告では,三浦半島西部の沿岸域において実施した,地下水年代測定による地下水流動場の評価の概要について述べる。
調査地点の地質構成は、概ねGL-200m以深が泥岩主体の葉山層群(前期~中期中新世)であり、その上位に砂質シルト岩・砂岩互層の三浦層群(後期中新世~鮮新世)が不整合に覆っている。透水係数は三浦層群、葉山層群それぞれ10-7および10-9 m/s程度である。
地下水年代測定は,深度350mおよび500mのボーリング孔掘削で得られた試料を用いて実施した。地下水年代の指標として,H-3,溶存無機炭素のC-14,Cl-36,およびHe-4を用いた。その他,水素酸素同位体比や各種溶存イオン濃度を分析した。その結果,三浦層群の地下水は流動性が高く,降水を起源とする淡水に対して比較的若い海水が混合しており,また,葉山層群の地下水は700万年程度の地下水年代と推定される化石海水であり,流動性が極めて低いものと考えられた。