抄録
富山県の立山では、晩秋季から春季にかけては積雪量が膨大であり、約半年間の大気環境情報を記録している。本研究では、4月の立山・室堂平での積雪断面観測を行い、主要イオン成分、ホルムアルデヒドや過酸化水素を分析し、寒候期においての大気環境情報の考察を行った。積雪層内では、NH4+、nssCa2+、NO3-およびnssSO42-については、比較的類似した濃度ピークの一致がみられ、人為起源成分や黄砂粒子の越境輸送の影響を受けていると考えられる。2012年以降、海塩比よりも過剰のCl―がみられるようになっており、最近噴気活動が活発化している地獄谷(弥陀ヶ原火山の噴気孔)の影響と考えられる。ホルムアルデヒド濃度は堆積後の変質の影響を受けているが、nssSO42-などとの濃度ピークの一致がみられることもあり、酸性物質と共に越境輸送されてきている可能性が考えられる。また、過酸化水素濃度は、新雪層やざらめ雪層で濃度が高くなる傾向がみられた。