抄録
溶存無機炭素の炭素同位体分析を行う上で,試料の採取から分析までに同位体比が変化することがある.最も影響が大きい原因として試料中の生物活動が上げられる.その他にも炭酸塩の溶解や沈殿,外部からの汚染などがある.本報告では,生物活動の影響を回避するために,ろ過が有効であるのか,ろ紙の材質による違いがあるか,また,ブチルゴムのセプタム栓に関する検討結果を示す.
ろ過をしていない試料では,日数が経過すると炭素同位体比が低下する傾向が見られた.ろ過をした試料では炭素同位体比の変化が小さくなったが,ろ紙の種類ごとに傾向がやや異なるようである.
灰色と黒色のブチルゴム製のセプタムの2つを比較すると,どちらも炭素同位体比の変化は小さく,両者に差がないように思われる.過去の報告に,灰色のセプタムで,炭素同位体比の変化があること指摘したものもあったことから,今後の変化に注視したい.