日本地球化学会年会要旨集
2015年度日本地球化学会第62回年会講演要旨集
セッションID: 3P18
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G10 水圏や土壌圏の環境地球化学
紅河の河川水及び堆積物中のヒ素と鉛の挙動
*井上 凌益田 晴恵米澤 剛Truong Xuanluang中野 孝教
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キーワード: 紅河デルタ, 紅河, ヒ素,
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抄録

 紅河本流の河川水中総ヒ素濃度は雨季(7-8月):1.4-9.1 μg/L、乾季(4月):2.2-92.9 μg/Lであり、河口に向かって濃度が減少する傾向がみられた。紅河に流れ込む支流の総ヒ素濃度はどちらの時期も本流の濃度よりも低い範囲にあり(雨季:0.2-1.6 μg/L、乾季:0.3-4.5 μg/L)、本流は支流の流入によって希釈される。

 乾期に採取した堆積物中のヒ素濃度は、2.0-55.6 mg/Lであった。紅河本流の堆積物はヒ素濃度が高く、全ての試料で30 mg/L以上であった。河川水中総ヒ素濃度とは異なり、紅河本流で河口に向かって濃度が減少する傾向は見られない。支流の堆積物中のヒ素濃度は紅河本流で採取したものと比べて低く、最大でも12.8 mg/Lであった。

 紅河デルタにおけるヒ素の原因物質は上流の中国領内から紅河を通じ、主として砕屑性粒子として運ばれてきた可能性が高いが、ヒ素を濃集する鉱物の特定は今後の課題である。

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