抄録
海水のCO2濃度が高かった太古代では、熱水もCO2に富み、熱水変成作用時に炭酸塩鉱物が大量に生じるため、Ca-Al鉱物や緑泥石などの苦鉄質鉱物の形成が阻害され、アルカリ性の熱水が生じることが知られている。本研究では、特に親銅元素の挙動の違いについて着目し、太古代と顕生代の海洋底変成作用を受けた岩石の化学組成を比較した。現在の海洋底では熱水変成・変質作用により、母岩のCuは増加し、Znは減少する傾向が見られる。一方、太古代では、Cuは一部増加している傾向があるものの、全体としては減少している。特に、珪化作用時に、顕著に減少するため珪化岩はCuに非常に枯渇している。一方、Znは増加しているが、珪化岩では顕著に減少している。以上の結果は、中央海嶺下での海洋底変成作用では、CuやZnは岩石に固定されるが、オフリッジでの珪化作用で、それらが放出されたことを示唆する。