抄録
古植生復元のために花粉・胞子、小型~大型植物体の化石が使われるが、近年、植物バイオマーカーによる方法が提案・検討されている。本研究では、海洋堆積物から古植生復元を試みた。試料として、2013年の IODP Exp.346航海でU1423 siteから採取された深海掘削堆積物コアを用い、鮮新世~現在 (~約 4.5Ma) の期間に着目して研究を行った。n-アルカンの平均鎖長を示す指標である ACL は全体的に 29 に近づくように変化し、これは木本性植生の増加を示唆する。裸子植物由来のジテルペノイドと被子植物由来のトリテルペノイドの相対比から得られる裸子/被子植物比も変動する。ジテルペノイド全体の持つ芳香環の平均を示した平均芳香環数は 北半球の氷床形成が始まったとされるNHG 期間と同調して増加する傾向を示した。これは北半球の寒冷化に伴い、北東アジア域の冬季モンスーンが強化され、ジテルペノイドの続成生成物の供給が増したためと推論している。