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アパタイトの水素同位体組成が、結晶化時のマグマの組成を反映しているのか、結晶化後の拡散した外部起源の水の組成を反映しているのかは不明瞭である.本研究では,水を拡散源としたアパタイトの水素拡散挙動を明らかにし、地球や天体内部における水-岩石相互作用の痕跡を解明するため,アパタイト水素拡散実験を行った. 全ての拡散プロファイルは、アパタイト中の水素拡散は、結晶に元から含まれている水素と拡散源の重水素との交換反応によって進行することを示した.Morocco産アパタイトの水素拡散係数は、Durango産アパタイトよりも約2倍大きく、活性化エネルギーは調和的であった.また、水素拡散の結晶異方性が見られ、c軸に鉛直方向の拡散係数は, c軸に平行方向と比べて数倍高い拡散係数を示した.以上より、本研究で明らかとなったアパタイト結晶の水素拡散挙動を考慮することで,これまで評価が難しかった比較的低温での水-岩石相互作用を,アパタイト結晶の水素同位体組成から評価できることを示唆している.