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地球が誕生した46億年前から40億年前の冥王代の地殻組成は、マントル化学進化の初期過程を制約する上で重要である。本研究では、冥王代に存在したと考えられる苦鉄質地殻の組成を推定するとともに、冥王代の珪長質地殻の存在を検証する。まず、プレートテクトニクス以前には、断熱上昇するマントルが厚いリソスフェアの下で極微小に融解したメルトが地殻となり、プレートテクトニクス以降は、マントルが海嶺で大規模に融解したメルトが地殻になると想定すると、どちらの場合も地殻の組成はピクライト-コマチアイト質と推定されたが、そのFeO/MgO比や副成分元素組成などには大きな違いが見られた。次に、推定したコマチアイト質地殻の含水融解によって珪長質地殻が生成される可能性を検証するため、コマチアイトの含水融解実験を行ったところ、生成されるメルトはSiO2に乏しくTiO2に富んだ組成となり、珪長質メルトは生成されなかった。