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マグマオーシャン後の、初期マントルの構造や化学組成・変遷過程を読み解くため、~4.0 Gaの年代を持つアカスタ苦鉄質岩の142Nd/144Nd同位体比を測定した。測定の結果、アカスタ苦鉄質岩は、現在の岩石と誤差の範囲内で一致する142Nd同位体比を持つことがわかった。これが当時の起源マントルの同位体を反映していると考えると、約40億年前には現在と同じ142Nd同位体比を持つマントルが存在したことを示す。一方、先行研究より、Isua表成岩帯やNuvvuagittuq表成岩帯に産する3.8-3.7 Gaの変成玄武岩は、現在とは異なる同位体比を持つことが示されている。これらの結果は、冥王代マントル分化は局所的であった、あるいは分化後の活発な混合により、初期太古代にはすでに完全に均質化したマントルと、分化の名残を残すマントルが混在していたことを示唆する。