本研究では、マントル鉱物の流体包有物に見られるCO/CO2比から、マントルの酸化還元状態(Redox)を推定する手法を提案する。あるマントル捕獲岩に見られる流体包有物を顕微ラマン分光分析によって調べたところ、CO2ピークとともに微小なCOピークを検出した。それらのラマン強度における相対比(CO/CO2比)は0.0114であった。これを原子比に換算すると0.021となる(2.1 mol%の一酸化炭素を含むCO-CO2流体)。この捕獲岩の両輝石温度は980°Cであったため、この流体がマントルにいた時の酸素フガシティはQFMの下0.7桁程度であったと推定できる。確度を検証するため、この捕獲岩に含まれるクロムスピネルの主成分組成を用いて酸素フガシティを計算すると、QFMの下0.6桁となり、CO/CO2比から求めた値と整合的であった。精度および確度の検証が必要であるが、本手法は鉱物種に依存しないRedoxプローブとして有効に機能する可能性がある。