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ニッケル(Ni)は海洋において微量栄養素であるが、高濃度では、生体への毒性を有する。Niなどの第一遷移金属は海洋における一次生産に不可欠であり、これらの元素の地球化学的な循環を理解することは重要である。Niの同位体比の微小な変動を指標として物質循環を定量的に把握する。高精度同位体分析を行う際に、岩石試料の主成分やスペクトル干渉する元素の分離が必要である。そこで、3種類の固相抽出剤(陽イオン交換樹脂、キレート樹脂、陰イオン交換樹脂)を用いたNiの単離法の確立を試みた。陽イオン交換分離では、Fe及びTiの分離を行い、キレート樹脂分離では、アルカリ、アルカリ土類金属、Mnについて、陰イオン交換分離では、遷移金属元素についての分離を行った。これらの分離法を玄武岩の標準試料であるJB-3に適用し、同位体比を測定したところ、回収率が90-98%で、同位体比は報告値に整合的であった。海洋においてNiの除去源として重要なマンガンクラスト/団塊について同位体比を報告する。