海洋酸性化実験を実施した二枚貝試料(アカガイScapharca broughtonii)を用いて、放射性炭素同位体(δ14C)および炭素安定同位体比(δ13C)分析を実施し、殻・軟体部の炭素源推定と海洋酸性化影響の評価を行った。 軟体部のδ14C、δ13Cは6実験区間で有意な差がみられず、主要な炭素源はエサの植物プランクトンであると考えられる。殻のδ14Cは、いずれの実験区でも海水の溶存無機炭素(DIC)とほぼ同一の値を示し、貝類の石灰化には海水のDICが主な供給源であることが分かった。殻のδ13Cは、海水のDICのδ13Cに比べて同位体比の変化が小さく、代謝効果による同位体分別が関わっていると予想される。以上の結果より、δ14Cはδ13Cによる補正が加えられているため、代謝による同位体効果を除いた指標として、石灰化への海水の寄与率推定に有効と考えられる。