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炭酸塩鉱物はどの時代にも普遍的に存在し、微量元素組成や同位体比から沈澱時の温度やpHなどの古環境情報を読み取ることができるため、地球環境の変遷を探る上で重要な役割を果たしてきた。近年、新たな環境指標として炭酸塩中のマグネシウムの同位体分別が注目されている。天然炭酸塩鉱物には主にカルサイトとアラゴナイトの結晶形が存在し、マグネシウムの同位体分別はカルサイトで大きく、アラゴナイトで小さいことが報告されている(e.g. Chang et al., 2004)。この指標の有用性を評価するためには、マグネシウムの同位体分別の変動要因を理解することが重要となる。本研究では、炭酸塩鉱物沈澱反応におけるマグネシウム同位体分別と結晶構造との関係性を明らかにすることを目的に、天然炭酸塩試料、合成カルサイト、合成アラゴナイトに含まれるマグネシウムのXAFS法による局所構造解析とMC-ICP-MSによるマグネシウム同位体分析をおこなった。