福島第一原子力発電所において放射性核種を含む汚染水が港湾内や地下水中に漏出した。放射性核種を速やかに捕集除去して環境浄化をする必要があるが、海水や濃縮汚染水など塩濃度が高い水溶液 (塩濃度 >3%) の浄化には効果的な手段がない。そこで本研究ではバイオミネラリゼーションによる浄化方法の開発のために、海洋由来のバイオ鉱物生成微生物を探索し、高塩濃度下におけるSr除去能を調べた。その結果、0.3-5.0%NaCl下で99%以上の溶存Srを除去する微生物を分離した。培養沈殿物はSrとCaを含む針状結晶の集合体であり、aragonite構造を持つバイオ鉱物であった。バイオ鉱物中のSrはSrイオン及びSrCO3の化学状態であり、CaCO3に取り込まれていく可能性が示唆された。分離株が溶存Srをバイオ炭酸鉱物として固化除去したことから、バイオミネラリゼーションが海洋など高塩濃度下における放射性Sr浄化の新たな手段として有効であると示した。