本研究では, 第四紀後期カリフォルニア沖堆積物(ODP Leg 167, Site 1017E)を用いて, 陸上植物由来のリグニンフェノールの組成変化から,カリフォルニア地域の植生変化の解析を行った. 本試料においてリグニンフェノールS/V比は約1万5千年前を境に現在に向かって高くなった. このことは, 1万5千年前頃までは, カリフォルニア周辺の植生は裸子植物の針葉樹が優占し, 約1万5千年以降は被子植物の広葉樹が優占する植生へと変化したことを示唆している. 一方、リグニンフェノールC/V比は約1万5千年前および1万年前から現在といった比較的温暖な間氷期に増加がみられた.これは温暖期に草本類の寄与が高くなったことを示唆している。この短期間の温暖化に対する応答はS/V比の変化には表れていないことから, 草本植物は木質植物よりも気候変動に対してセンシティブに応答した可能性があることを示唆している.