これまでCO2放出源とみなされてきた沿岸域において、Tokoro et al. (2014)は、風蓮湖のアマモ藻場における炭素動態の現地観測を行い、アマモ場沿岸域は大気中CO2吸収源であることを示した。バルクの炭素・窒素安定同位体比分析から見積もられたカーボンフローモデルでは、大気中CO2は一次生産者(アマモなど)により炭素の固定が行われ、その一部が底泥へ堆積することが推定された(Watanabe and Kuwae, 2015)。しかし、アマモなどの炭素が堆積物に埋没しているという化合物レベルでの証拠はまだ得られていない。そこで、本研究では風蓮湖堆積物における有機物組成からアマモ由来有機物の寄与を検討した。結果、湾口ではアマモ由来の有機物が比較的多く寄与していることが示唆された。この結果は、アマモなどの自生性光合成生物が作った炭素は、湾口側の堆積物中に高い割合で固定されていることを明らかに示している。