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アンチモン(Sb)はヒ素(As)と同様に生物に対して毒性を有するため地球表層環境における動態の理解が望まれている。地球表層の水圏環境では鉄酸化物への収着がSb(V)の移動性を支配すると考えられている(Mitunobu et al., 2006)。鉄酸化物と同様に地球表層環境で二次的に生成する高反応性物質に炭酸カルシウムがある。Alexandros et al. (2014)やYokoyama et al. (2009)によるとAs(V)は共沈や吸着により炭酸カルシウムに取り込まれ地球表層環境におけるAsのシンク・ソースとして働くことが報告されている。一方、Sbと炭酸カルシウムの相互作用に関しては検討例が少ない。愛媛県市之川鉱山はかつてSbを採掘しており、石灰岩を基盤としている。したがって二次的に生成した炭酸カルシウムと溶存Sbの相互作用を観察できる可能性が高い。本研究は愛媛県市之川鉱山坑道内に生成した方解石によるSbの取り込み挙動を検討することを目的とする。