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近年、サブミクロンの海塩粒子に不溶性の炭素が濃集しており、それらが海塩粒子の吸湿特性や化学反応性に影響を与えることが示唆されている(Vaishya et al., 2013; Quinn et al., 2014)。炭素の存在状態は吸湿特性や化学反応性を決めるうえで重要な情報であるが、錯体の有無まで踏まえて研究が行われた例はない。本研究では走査型透過X線顕微鏡(STXM)およびX線吸収微細構造(XAFS)法を用いて炭素、Na、Mg、Ca、Sの化学種解析を行い、炭素の存在状態の解明に挑戦した。 サブミクロンの海塩粒子中の炭素の主要な化学種はカルボキシル基(-COOH)と炭酸(CO3)であり、これらは不飽和脂肪酸NaやCaCO3として存在していた。また、炭素の多くが粒子表面に濃集していることも明らかとなった。粒子表面に溶解度が低い炭素が濃集することで、炭素が水による粒子成長を阻害する。また、粒子内部の還元的なSの酸化反応を有機物が阻害している可能性も示唆された。