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海洋における多くの元素について、鉄マンガン水酸化物や大型の生物粒子がスキャベンジャーとして鉛直輸送を担っているという考え方が主流 (Sholkovitz et al., 1994) となっている。希土類元素の循環について、珪藻ケイ酸殻粒子と炭酸塩粒子が主要なスキャベンジャーとして働いていることがAkagi (2013) にて示唆されている。ところが、炭酸塩粒子による元素の吸着は、反応を急速に進めるとキネティックな反応が卓越し、Caに対する分配比が1に近づくことが報告されている。そこで、我々はキネティックの効果を受けないように分配定数を求める方法を考案した。この方法では ・新たな沈殿生成を仮定しておらず、キネティックな効果を最小限に抑えることができる ・溶液と粒子の濃度を直接測定するため反応容器壁面への吸着などの影響を受けない ・二酸化炭素分圧を変化させることによってカルサイトの生成、溶解を容易に制御できる、といった利点がある。