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パルマ藻の熱熟成実験を行い、加熱後の試料からn-アルカン、脂肪酸のほかに、C29ステランおよびステレン、ジアステレンなどが確認された。これらのステロイドはC29ステロール由来であり、20R体と20S体の異性体も確認された。加熱前のパルマ藻生体細胞のステロイド分析において、パルマ藻T. laevis f. inornata からはβ-sitosterol(C29)、T. strigataからはostreasterol(C28)が卓越して見つかった。また加熱した試料からはステラン、ステレン、ジアステレンが検出され、その炭素数別分布はそれぞれ生体細胞から検出されたステロールと大方一致した。これらの結果から、中生代の海洋堆積物においてC29ステランはパルマ藻に特徴的なバイオマーカーになり得て、堆積物のステラン組成比からパルマ藻の進化や生産変動を復元できる可能性があることを提案する。