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白亜紀のような温室期における陸域の環境・生態系を復元することは、温暖化環境での陸域の長時間スケールの応答を理解する上で重要である。本研究では、北海道中南部に分布する白亜系蝦夷層群函淵層で見られる石炭層を対象にバイオマーカー分析を行い、陸上古環境の復元・解析を試みた。酸性環境の泥炭地に特徴的なC31αβ-ホモホパンが卓越して検出された。また、αβ-ホパンのC31/C30比とn-アルカンのACLとの間に相関関係がみられたことから、環境の変化に植生が応答していたことが示唆される。裸子植物由来のジテルペノイドでは、2-メチルレテンおよびその前駆物質であると考えられるシモネライトが卓越して検出された。石炭層毎のレテン/シモネライト比の変化は、裸子植物種の寄与を反映している可能性がある。n-アルカンが植物相全体の成分を反映する一方、ジテルペノイドは森林植生の成分を強く反映している可能性がある。