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近年多くの沿岸海域の底層で、貧酸素水塊の発生が報告されている。海洋底層においては、水柱中を沈降する有機物粒子の酸化に伴う消費と、海底堆積物表面における消費の二種類の酸素消費が進行する。このどちらがより貧酸素水塊の形成に寄与しているのかを明らかにすることは、貧酸素水塊の形成過程や対策等を考える上で重要である。水柱中の酸素消費反応は、有機物が酸素により酸化分解され、二酸化炭素と水が生成する反応であるため、酸素原子の一部を17Oに置換したO2を水試料に添加し、生成する水の同位体比の時間変化を測定することで、酸素消費速度を見積もることが出来ると考えられる。そこで本研究では、底層における著しい貧酸素化が報告されている伊勢湾をフィールドに、この新手法を用いて水柱中の酸素消費速度を実測し、伊勢湾における貧酸素水塊の形成過程を考察した。