近年の急速な温暖化に伴う北極海での海氷面積の減少により、メタンの生成が促進されていることが指摘されてきた。しかし、西部北極海では溶存メタンに関するデータがほぼ空白である上、北極海全体においてもメタンの生成・消滅過程の推定に有用な安定炭素同位体比(δ13C値)を用いた研究例が限られている。そこで本研究では、西部北極海の溶存メタンの濃度とδ13C値を分析し、その生成・消滅過程の寄与の推定を行った。濃度はガスクロマトグラフ/水素炎イオン化検出器を、δ13C値はガスクロマトグラフ/燃焼/同位体質量分析計をそれぞれ用いた。測定の結果、表層海水および沿岸陸棚域において、メタンの濃度、δ13C値ともに2012年と2013年とでは異なる水平・鉛直分布が見られた。