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海洋への隕石衝突によって、隕石鉱物と海洋および大気が相互作用を起こし、生命の素となる有機分子が生成されるという説が提唱されている。先行研究ではアンモニアを多く含む海洋への隕石衝突を想定した実験が行われ、アミノ酸や核酸塩基といった簡単な有機分子の生成が確認された。しかしながら初期海洋のアンモニア濃度は非常に低く、その場合、海洋への隕石衝突によって有機分子が生成されるのか定かではない。そこで本研究ではより初期海洋に妥当なアンモニア濃度での実験を行うことで、実際に有機分子が生成されるのかどうか検証した。その結果、最大で2種類のアミノ酸が生成されるということが明らかとなった。これは海洋にアンモニアがほぼ含まれない場合でも有機分子は生成されるということを示し、初期海洋への隕石の衝突が生命の起源において何らかの役割を果たしたことを示唆している。